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お店でうっかり「高級時計」を落として破損…わざとじゃなくても弁償義務はある?
2017年07月18日 10時32分

お店で商品を壊してしまった。わざとではなかったが、商品を賠償する責任はあるのかーー。そんな相談が複数、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられています。

ある人は、時計店で高級時計を試着した際に、バンドがゆるく、手首をすり抜けて床に落としてしまいました。お店からは、時計が損傷を受けたとして「販売することは困難で、買い取って欲しい」と言われたそうです。しかし、店側も何らかの保険に入っているはずで、その保険でカバーされるのではないかと考えています。

また別の人は、6歳の子どもがインテリアショップでランプをうっかり落としてしまいました。店の店長から「7万4000円の商品ですが、(そのうち)2万5000円を弁償してください」と言われたそうです。ただ「通路上に短い配線があり、靴先を少し引っ掛けた瞬間、倒れてしまった。このようなケースでも提示された金額を素直に支払うべきなのでしょうか?」と疑問を感じているようです。

お店の商品を壊してしまった場合には、必ず弁償しなければいけないのでしょうか。また、商品を賠償する場合は、店側に提示された金額を支払うしかないのでしょうか。田村ゆかり弁護士に聞きました。

お店で商品を壊してしまった。わざとではなかったが、商品を賠償する責任はあるのかーー。そんな相談が複数、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられています。

ある人は、時計店で高級時計を試着した際に、バンドがゆるく、手首をすり抜けて床に落としてしまいました。お店からは、時計が損傷を受けたとして「販売することは困難で、買い取って欲しい」と言われたそうです。しかし、店側も何らかの保険に入っているはずで、その保険でカバーされるのではないかと考えています。

また別の人は、6歳の子どもがインテリアショップでランプをうっかり落としてしまいました。店の店長から「7万4000円の商品ですが、(そのうち)2万5000円を弁償してください」と言われたそうです。ただ「通路上に短い配線があり、靴先を少し引っ掛けた瞬間、倒れてしまった。このようなケースでも提示された金額を素直に支払うべきなのでしょうか?」と疑問を感じているようです。

お店の商品を壊してしまった場合には、必ず弁償しなければいけないのでしょうか。また、商品を賠償する場合は、店側に提示された金額を支払うしかないのでしょうか。田村ゆかり弁護士に聞きました。

●「過失による場合でも損害賠償義務を負う」

「わざとでなくてもお店の商品を壊してしまった場合には、原則として、損害賠償義務を負います。不法行為について定めた民法709条で、『故意』だけでなく『過失』による場合でも、損害賠償義務を負うとされているためです。

では、ご相談にあった(1)お店側にも過失がある場合でも支払うべきなのか、(2)お店が加入している保険でカバーされるのではないか、という点について検討してみましょう」

1点目の、お店側にも過失があった場合には、どう判断されるのだろうか。

「相談が寄せられた、通路上の配線に子どもが靴先を引っ掛けて倒れたため、ランプを落としたという場合。これが店側の過失にあたるかどうか。

これを考える上では、配線の位置、足を引っ掛けてしまうような状況だったのか、ランプの形状等から倒れやすい展示方法ではなかったか、子どもの入店が多く予定されるようなお店か等によって変わりますが、お店側の展示方法にも問題があると言える可能性があります。

そのような場合は、全額をお客さんが賠償するわけではなく、お店側の過失割合(寄与分)も考慮の上で損害賠償額を決めることになります」

●店から請求されたら、どうしたらいい?

2点目の保険問題については、どうだろうか。

「お店が加入しているはずの損害保険で、損害をカバーできるのではないか、というご質問ですね。特に、時計や宝石など高額商品を扱っているお店や、複数店舗を展開しているような場合は、店が加入する損害保険に、偶発的な事故による商品損害をカバーする特約をつけているケースも多いと思われます。

では、お店からの請求に納得いかない場合はどう対応すればいいでしょうか。請求を行った店員が店側の過失を認識していなかったり、保険の内容を把握していなかったりする場合も考えられます。

そこで、その場で支払いをせずに、連絡先を教えて後で請求をしてもらい、納得いかない場合には弁護士にご相談下さい。

お店が加入していた保険によって、損害が補償されることがわかった場合には、客が負担する必要はなくなるかもしれません。また、店側の過失があることを指摘して減額交渉ができることもあるでしょう。

結論として、全額支払わざるを得ないこともあると思いますが、その場合でも納得して支払いをすることは大事だと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

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