この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
ご相談者のお父様が脳出血で倒れた後に、多額の貸付金に関する支払いの請求書が届きました。もっとも、借金をしていたのは死亡した叔父であり、叔父の子供らが相続放棄をしたためにお父様に請求がきた事案です。叔父の死亡からは3か月以上経過していたため、驚いて相談に来られ、お引き受けすることになりました。
解決への流れ
まず、亡くなった叔父の本籍地の家庭裁判所で、その子供らの相続放棄の時期を確認したところ、叔父の子供らが相続放棄をしてからは3か月が経過していないことがわかりました。もっとも、お父様が何も話せない、字も書けないため、相続放棄を弁護士に依頼することもできません。お父様に弁護士に依頼する能力(意思能力)があるかどうか微妙な事案だったため、万が一のことを考えて、ご相談者様を利害関係人として3か月の熟慮期間の延長を家庭裁判所に申し立てました。この延長された期間を利用してお父様の意思能力調査をした上で、成年後見人選任申立をしました。幸い、ご依頼者様が成年後見人に選任されたため、改めて相続放棄のご依頼を受けて、家庭裁判所に相続放棄の申立をして受理されました。その後、各債権者に相続放棄申述受理通知書の写しを送付し、請求は全て止まりました。
相続放棄は相続人が「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」にしなければなりません。今回の事案では、叔父の子供らが相続放棄をしたことを知ってから3か月以内となります。もっとも、「知った時」の証明をするのが難しいため、叔父の子供らが相続放棄をした日から3か月以内に放棄をするのが一番安心できる方法です。高齢の兄弟姉妹の相続の場合、それぞれの住んでいるところが遠かったり、全く連絡をとりあっていなかったりして、債権者からの突然の督促で叔父叔母などの死亡をしることもよくあります。また、高齢の場合、脳出血、認知症などで自分で相続放棄も弁護士に依頼もできない場合もあります。ご依頼者が督促を受けてすぐにご相談いただいたため、特に争いになることなく解決ができました。※ 依頼者のプライバシー保護の観点から内容を修正しています。